美しい芸者である滝の家清葉に密かに思いを寄せていた医学者の葛木は、ある日、遂に勇気を振り絞って自分の気持ちを伝えます。しかし、清葉は旦那に一途な思いを抱えており、葛木の告白を受け入れません。その話を聞いたライバル芸者の稲葉屋お孝は、葛木を利用しようと近づきます。一方で、過去に清葉に振られた直後にお孝に誘惑され、その後捨てられた五十嵐は、お孝に対し執拗に追いかけ続けていました…。 この物語は、ロマン主義の先駆者である泉鏡花の同名小説をもとに、和田夏十が脚本を担当し、市川崑監督との名コンビで映画化された文芸ドラマです。舞台は大正初期の日本橋で、ここでは新旧二派の人気芸者たちの対立と彼女たちを取り巻く男たちの色欲に満ちた人間模様が豪華なキャストで描かれています。特に、淡島千景、山本富士子、若尾文子という三大女優の共演は見逃せません。また、助監督として、'60年代に多くのヒット作を手掛けた増村保造監督も名を連ねています。